千羽の鶴と一緒に坂道の桃色の空に舞いあがってもみたい。

9月18日。日曜日。
しゃわこの動画をむさぼるように見る。
あとは気絶していた。
bk1からたくさん本が届く。今月買いすぎた。bk1を積極的に利用するようになってから、びっくりするくらい本を買う量が増えてしまった。利用する前も結構びっくりしていたので、このびっくりは並大抵のびっくりではない。この間買った本棚が埋まってしまった。もうどこにおけばいいかわからない。だけれど押し入れは結構空きがあるので、押し入れに入れればいいのだと思う。けど、押し入れに入れてしまうかわいそうな本たちを選ぶのはしのびなさ過ぎるのでどうしたらいいだろうか。どうしたらいいどうしたらいいとわたしはいつも呆然として立ち尽くしてしまう。そうしてみんなに置き去りにされる。とりあえずシリーズを全部揃える癖があるので、読んでないシリーズがたくさんあるし、そのシリーズの新刊が出ると読んでないのに買ってしまう。わたしはあまりにも他人に触れない生活を送っているので、普通の人がどういうものかもうとっくに忘れてしまったけれど、普通の人の本の買い方ってどういうものなのかわからない。そもそも本を読むことが賢いわけでなし、ふと気づいてわたしは何をしているんだろうな、と思うことがよくある。現実から逃げて本を読んで虚構の世界を泳いで何かしらした気になっている。何を産み出すわけでもなく暮らすわたしは、虚構の世界の虚構さにも気づきはじめて、一切の価値を認めることができない。


9月19日。月曜日。
しゃわこのラジオをむさぼるように聞く。
いろいろ本を読む。高橋しん『SEASONS〜なつのひかりの〜』を読む。高橋しんは『いいひと。』からずっとだいすきなので、無条件で全部読んでいる。相変わらずすばらしい。あんまりファンタジーにとばない方がすきだなぁと思う。わたしはさみしい人間でここはさみしい世界なので、虚構の中のあたたかい世界、ハッピーエンドで時が止まる世界が大好きだ。だいすきだ。だいすきです。
注文していた劇団☆新感線『薔薇とサムライ』のDVDが届く。我慢できなくて買ってしまった。今度のお休みにご褒美に見ようと思う。なぜかなぜか全然泣くシーンじゃない最後の爽快な殺陣のシーンでぼろぼろ泣いてしまった。舞台の生命力ってすごいなと思った。ずっとわたしの手元に置いておきたい。そして人が全身全霊を込めて何かをしている姿はここまで人の心を打つんだと感じた。元気がなかったあの頃に、もう一度気力を吹き込んでくれたのは、この舞台だった。舞台の力強さと物語の力強さを学んだ。帰りのホームでしみじみとありがとう、と思った。


9月20日。水曜日。

朝からロイヤルホストで読書をしたり、仕事をしたりする。
ラノベを読む。笑わせる技術楽しませる技術というのは確実に存在していて、だからこそわたしは小説と物語とを分けておく。小説の美しさも物語の美しさも存在するけれど、一般的に無条件に人に伝わるのは物語だと思う。物語の力は強い。没入できる我を忘れることができるものはどんなものでも嗜好品としてすばらしい。一時の現実を忘れるための嗜好品。でもそれがあるから生きていくことができる。たとえばわたしは、この一年間、西尾維新の新刊が出るから死ねなかった。もうすでに一年間分も予定されてたから。もちろんほかにも理由はあるけれど、一部を担っていたのは確かだ。辻村深月の著作とかコメントとかでみたものだけれど、「この作者の新刊が出るからもう少しだけがんばって生きよう」ということばはたしかに実感をもって受け止めることができる。人生で価値のあるものは心のみで、どれだけお金や地位があっても、真に心躍るその瞬間には勝てない。もちろんお金や地位で心躍るならばそれはそれでいいけれど。わたしにとっての心躍る瞬間は本当におもしろい物語に出会うこと、人とわかりあえること。わたしはそれがあるから生きていける。虚構というならばこの世界も虚構だ。だからわたしは虚構から虚構へと移り歩き、その世界で楽しめることを十全に楽しめるようになれればいいと思う。楽しめるものがたくさんあれば、わかり合える人がたくさんいれば、その分世界は輝くよ。九年前、絶望していたわたしへ。ひとりぼっちでどうしたらいいかわからなくなってしまったわたしへ。誰を信じたらいいかわからなくって、誰も頼れなかったわたしへ。死んだように生きていたわたしへ。死にたいと思っていたわたしへ。これからたくさんのおもしろい本が出るよ。あなたがまだ出会ってないすごくおもしろい作家さんがいるんだ。もう少ししたら出会えるよ。それからね、もっともっと色んな作家さんに出会って、もっともっとおもしろい物語に出会えるんだ。楽しい映画も見つけたよ。きれいな音楽もあるんだよ。そしてなにより、自分のことをわかってくれる人に出会えるよ。このわたしの宝物は、いつかあなたの宝物になるから。全部あげる。全部渡してあげられる。あなたが生きてさえいてくれれば。10本道のうち8本くらいが外れの道で、わたしはそれを選んでいたら早々に死んでいたと思う。そのくらい辛いよね。でもわたしはたまたま運良く残り2本の当たりを選んでいまここにいる。あなたが大好きそうなものを見つけたよ。あなたが大好きそうな人もいたよ。だからわたしはすごく幸せですごく楽しい。未来は、楽しいよ。ねえだからがんばって顔を上げて、辛いこともあるけれど、それを補ってあまりあるくらい楽しいことがあるよ。辛いときに支えてくれる好きな人もできた。ずっと好きだったけれど叶うことはないだろうと思ってた人とつきあうことができたんだよ。なんとその人もわたしのことを好きでいてくれたんだよ。その人はとってもいい人なんだよ。あんな幸せな瞬間はなかった。だから、がんばって。少し先で待っているよ。どうか外れの道を選ばないで。外れの道も楽ちんかもしれないけれど、今のわたしはこの楽しいことや好きな人や仲良しの友達を失いたくないよ。だからきっとこのわたしのまわりをみたら、あなたもきっとそう感じると思う。あと少しだけのがんばりだよ。一人ぼっちは辛いけど、誰も本当には助けてくれないかもしれないけど(それは自分も少し悪いんだけどね)、でもその先には幸せがあるよ。今日だって、柳家喬太郎の『時そば』って超おもしろい落語の動画を、好きな人と一緒にみて笑い転げたんだ。当然絶対好きだろうから見て欲しい。あなたはまだこの人知らないだろうけど、あと4年くらいしたら知ることになるから。ね。九年前のわたし、がんばれ。今のわたしは未来のわたしが励ましてくれるから、昔のわたしは、今のわたしが励ましてあげる。だからひとりぼっちじゃないよ。昔のわたしが大事にしてたものも、残らず今のわたしも持っているから、だから安心してここまでおいで。ねえ、全部あげるから。ここで、待っているよ。

台風で風がびゅうびゅうとひどい夜に。